陸上競技の種目の中には、風による影響がどれだけあったかを計測するものがあります。
風力計測員がその任務にあたります。仕事内容についてまとめました。
なお、このページの図は、志村交平氏(故人)が作成したものを引用させていただきました。
湿度早見表は井上雄介氏からご提供いただきました。
風力計測員の仕事
@トラック競技200mまでの種目における風向風速を計測する。
Aフィールド競技、走幅跳、三段跳における風向風速を計測する。
B競技場気象状況(天候、風向、風速、気温、湿度)を1時間ごとに観測する。
C新記録樹立の場合は、気象状況、風向と風速の確認と証明を行う。
競技会開始前の準備
○定時観測用
内側縁石の直走路の中間の第1レーンから約1m離れたフィールド内に設置する。
○トラック
直走路の第1レーンに隣接して、フィニッシュラインから50mの地点。
トラックから2m以上離してはならない。
高さはほぼ1m220とする。
〔注〕直走路に入る位置に旗を立てて表示する。
↑日本陸上競技連盟で独自に追加したもの。
○フィールド
走幅跳、三段跳では踏切板から20mの地点に立てる。
踏切板から走幅跳で40m、三段跳で35m離れ、助走路のそばにマークをおく。
○用紙類の確認
種目別風力記録表
走幅跳・三段跳風向風速記録表
定時観測連絡票
グラウンドコンディション記録表
風力速報記録用紙……トラック用にオリジナルで作成している
○役割の確認
主任の指示のもとで仕事内容を確認する
○連絡部署に計測結果の連絡方法を確認する
トラック競技……トラック競技記録担当(東京では本部記録員に直接持っていくことが多い)
フィールド競技……フィールド審判員記録担当
定時観測……本部記録員、アナウンサー
○風力速報表示器
トラック競技……フィールド中央の風力計測員のすぐ脇あるいは情報機器が用意できれば、フィニッシュライン付近の記録速報板に並べて表示する。
フィールド競技……風力計の備え付けてある場所に隣接する。
○トラック
60m……スタートから5秒間
80mH……スタートから13秒間
100m…… スタートから10秒間
100mH……スタートから13秒間
110mH……スタートから13秒間
200m……先頭走者が直線に入ってから10秒間
○フィールド
競技者が踏切板から走幅跳で40m、三段跳で35m離れ、助走路のそばにおかれたマークを通過するときから5秒間計る。もし、競技者が40mまたは35mより短い距離の助走する場合は、助走を開始したときから計る。
○定時観測
@風速
5分間の計測が望ましいが、少なくとも3分の計測を行う。同時に風向もみることになるので方位磁針で確認して、方位も合わせておく。
3分20秒の計測をしたとき、その間にメーターが何回転と何目盛り動いたかを読み、それを200(3分20秒を秒に表した数)で割ると風速が求められる。
A風向
16方位を用いて読む。
B気温、湿度
競技場に用意されている温湿度計を用いて読みとる。 湿度早見表(excel形式)
C天候
競技場の上空を見て、雲量が40%程度までは晴れとする。